作物の目的 4

しぶさえ抜けばこれに優る餅はないといいます。


その餅の味と同様、たしかに、この谷間の自然に最もふさわしいモロコシのように思われます。


今年92歳になるその家の老母も、このモロコシの重たい穂を毎年収穫してきました。


永い年月をかけて、その山村に育った作物は、もはや山の杉や谷の草のように、そこの自然の一部となっているともいえるでしょう。


この谷にモロコシがたどり着くまで、ながい道程があったでしょう。


その途中では異民族によって収穫されたこともあるでしょう。


満州(中国東北地区)のモロコシ(高梁)であったのか、インドのモロコシか・・・


そして、旅路の出発地はアフリカのどのあたりであったのでしょう。

日本人としての誇りを持とう 2


戦後37年、社会や家庭から甘やかされて育ち、欲しいものは何でも与えられてきた"エゴ"にほかなりません。


・・・それに教育の荒廃と家庭の崩壊がさらに輪をかけ、そこから過激派や非行少年が生まれてきたと言えるでしょう。


この悪循環を絶つ、強力な政治、社会の指導が必要です。


政治も、経済も、教育も、こうした自己中心の"エゴと甘えの構造"を是正しなければなりません。


私は、今こそ「日本は立派な国です。


この祖国のために、同胞のために、場合によってはわが身を犠牲にしても悔いない」と、みんなが抵抗感なく考えられるような、そういう素晴らしい日本をつくりたいと思います。


大事なことは、戦後、わたしたちが一生懸命努力して、大切に育て守ってきた「自由と民主主義」を損うことなしに・・・


平和で、豊かで、安定した生活を維持していくために、1人ひとりがいかに責任を果たしていくかということです。


日本人としての誇りを持とう


日本と世界の青年の意識の違いを調査した「世界青年意識調査」によると・・・


「祖国のために役立つようなことをしたい」と回答した日本の青年は46%で、ドイツ、フランスの42%に次いで低かったそうです。


・・・さらに「そのために自分の利益を犠牲にしてもよい」とするのは20%で、世界最低でした。


そして「人生に希望や喜びを感じる」と答えた者は、アメリカ、イギリス、スイスなど7力国で80%台の高率だったのに、日本の青年は59%と、これも最低でした。


人生に、目的や希望を持てないほど悲惨なことはありません。


インドやアフリカなどのように食糧に困り、アフガニスタンのようにソ連の占領下にあったり・・・


共産圏のように自由が束縛され、また、多くの国のように兵役の義務があるというわけではない日本の青年の、この不満感は、いったい何に起因するのでしょうか?


作物の目的 3

縁側でサツマイモを御馳走になりながら、見上げると、杉木立を背にモロコシの穂が並んでいます。


「もう、あの穂はとれるな」


主人は穂の色づきを見ながら、収穫する穂の見当をつけています。


軒下には、すでに数本ずつ束ねられた穂が乾いています。


こうして、半月もかかって、取り入れをします。


収穫法については、「イネのようなわけにいかん」と信じられています。


そのため穂は、粒色とか、粒の大きさなどよく揃っていますが、熟期は個体によってまちまちです。


きょうのように時雨がよく降り、もやのかかるこの谷間では、熟期の揃わない方が、かえって安全です。


乾燥地でのモロコシの穂は、粒が密に集まってつくのですが、この谷のモロコシは枝梗が伸びて、粒と粒の間の風通しがよくできています。


作物の目的 2

青い実は苦いですが、赤く熟したホオズキは甘酸っぱい果肉とジュースではちきれそうにふくらんでいます。


果実はトマトほどの大ぎさにはなりませんでしたが、葉は食用になるといいます。


すでに放棄されて久しい開拓村や、人気のない廃村のあとには、ホオズキだけが赤い実をつけています。


・・・そこには、かつて子供たちのはしゃぎ声が聞こえたのでしょう。


童心をとらえるこの赤い実は、朝鮮半島、満州、蒙古、そしてヨーロッパ、と点々と連なっているのです。


つぎにモロコシという作物を紹介しましょう。


またの名をトウキビといいます。


この秋に訪れた三重県一志郡美杉村川上あたりでもトウキビと呼んでいました。


冷たい時雨が降りしきると、稲刈りの手を休めます。


作物の目的

ある農家からの帰り道、ヒユナの枝先をもって、通りがかりのお年寄りに、


「こんな菜を作っている所、知りませんか」と聞いてみましたが、


「これが菜かね・・・、これはきっと草だよ」


・・・とやや自信なげな答えが返ってきます。


作物はそれを利用する目的と結びついて生存します。


しかし、時には、その結びつきがなくなっても、庭の片隅で余命を保っていることがあります。


作物の目的には、実用主義だけでは合点のいかないものがあります。


夏の縁日には、茎に鈴なりのホオズキが子供たちの人気を集めました。


とりわけ、女の子は口の中に、丸い熟果を転ばせながら、薄皮だけにして、ぎゅうぎゅうと鳴らすのが得意でした。


ルーブル合意 2

3月下旬から2週間で、150億ドルにのぼるドル買い介入を各国が必死に実施したにもかかわらず、ドル安は1ドル=220円台まで進んでいました。


市場のドル不信感が自己増殖を繰り返し、さながらアリ地獄のように歯止めが掛かりにくくなっていきました。


87年4月のワシントンG5・G7では、ドル暴落懸念で各国が一致。


当局者の緊張は高まり、ドル・サポート発言が相次いでいます。


米国が金利を高めに誘導し、日本が低めに誘導し金融政策での協調を強めました。


日本の大蔵省が国内の銀行や生命保険会社などにドル売り自粛を指示し、なりふり構わずドル安をとめようとしたのもこのころです。


その後、ベネチア・サミット(87年6月)を経て、小康を保っていたドル相場でしたが、各国のインフレ懸念が次第に高まり、金融引き締めの動きから不協和音が広がり始めました。


べーカー長官の西独批判が政策協調の破綻の連想を生み、87年10月のブラックマンデーにつながったのです。


ルーブル合意

貿易赤字の解消は米国一国の手には負えず、ほかの国の手を借りる基軸通貨のドルが暴落すれば、日欧も困ります。


・・・米国はその弱みをついたのです。


いわば、米国にとっての「天動説」です。


その後もべーカー長官ら米高官のトークダウンでドル安は進み、1ドル=150円台までつけ円高不況が一段と深刻な兆しを見せる中で、86年10月、宮沢蔵相が急きょ米国に飛んでいます。


べーカー長官と会談し、日本が3兆6千億円にのぼる補正予算や減税の早期実現、利下げといった財政金融政策で大きく譲歩する代わりに、「米国も為替安定に協力する」との合意を初めて引き出しました。


さて、米国のドル安誘導政策が大きく転換するのは、87年2月のパリでのG5・G7「ルーブル合意」です。


米国が執拗にドル高是正と称して、ドル下げを押し進めた結果、米国への資本流入が落ち込む恐れが出てきました。


米金利が上昇の兆しを見せ、原油価格の上昇によるインフレ懸念から、米国自身にドル安を抑える必要が高まってきたわけです。


この会議では、各国通貨の間に参考変動幅(レファレンス・レンジ)を設けました。


「これ以上のドル下落は各国の成長と調整に有害。


各国は為替相場を当面の水準の周辺(アラウンド・カレント・レベルズ)に安定させるために緊密に協力する」


・・・と宣言し、一転してドル安定を目指しました。


プラザ以降の第二局面です。

米国の狙い

日銀の意図はドル高を是正する方策として、日米、米独の金利差を縮小することにありましたが、実際は裏目に出た格好となりました。


その後は、この"教訓"による反省もあってか、協調強化の名のもとに各国大蔵省による金融政策への支配が進んでいきます。


・・・こうした中で、世界経済全体にデフレの影が広がり、金利を引き下げて景気を刺激する必要が出てきたため各国は協調利下げに踏み切りました。


各国が独自の判断でばらばらに金利を動かすと、金利差のズレが為替相場の不安定要因になるためです。


・・・この方式はその後の協調策の中軸として引き継がれていきます。


米国の財政赤字削減や日独の内需拡大が思うように進まず、ドル安はさらに進んでいます。


86年5月の東京サミットでは、べーカー長官が「各種の経済指標を使った経済政策の相互監視(サーベイランス)」を提唱しました。


「国際不均衡の是正のためには黒字国、赤字国双方の協調が必要」と力説し、サミット構成国の蔵相、中銀総裁によるG7の創設に持ち込んでいます。


・・・米国の狙いは日独から内需拡大策を引き出すことでした。

プラザ合意

開かれたニューヨークのホテルの名から、「プラザ合意」と呼ばれるこの会議の合意は、各国が協調してドル安を誘導すること・・・。


「為替相場が国際収支の不均衡を調整する役割を果たすべきだ」と明言し、ドル安を進めるために、「より密接に協力していく用意がある」とドル売り協調介入に向かう各国の強い姿勢をうたいました。


この年の末までに、ニューヨーク連銀、日銀がそれぞれ30億ドル、そのほかのG5参加国合計で20億ドルにのぼる巨額の介入に加え、"実弾"を使わないドル安誘導発言(トークダウン)による口先介入も駆使・・・。


円相場は1ドル=240円から200円近くまで急上昇しました。


プラザ合意で不透明だったのは、金融政策をめぐる協調です。


金融政策は各国中央銀行総裁の専管事項のため、この時点では協調のツールとしての位置づけにはやや曖昧なニュアンスを残しました。


会議後しばらくして、日銀が独自の判断で短期金利を高めに誘導したところ、米国への資金流入減少懸念から米長期金利が急上昇するなど弊害が噴き出しました。


ポルカーFRB議長から「不必要かつ賢明でない政策」との厳しい批判を浴びる結果となりました。

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