現代の外地詠 2
第二次大戦後の民族独立運動が、フランスの植民地支配を絶ち切った数年後であり、まだ不幸な南北の対立抗争ははじまっていません。
独立戦争を戦った兵士たちは、軍服を捨て、民衆と同じ服装をして、民衆と共に畑作業をしています。
この歌は単なる「目前の事実」を歌っているのではありません。
「兵衣をいま見ず」は、かつて彼らが兵衣をまとっていたことを前提としての表現であり、作者はここで事実よりも、事実の持つ意味を汲み上げているのです。
「フランスが惜しみつつ遺せし護誤林」にも同じことが言えます。
ここには香川の思想が見られます。
あるいは認識といってもいいですね。
「しばしばも鞭音たかくひびきたり吾が馬車あつき風にい向ふ」
「砲弾のくぼめし土のひとところ草いきれ立つときに来にけり」
・・・これは昭和5年、白秋の最初の一首「寒月は」の1年後、おなじ束難冠山の古戦場での作です。
季節が夏である点をのぞいても、作者によって把握がいかに違うかの例としてあげました。